最近の悩みは妊娠しない牛を今後どうするかという事です。
そのような牛は牛乳を出す量が減り採算性が合わなくなるからです。生命の大切さを理解する毎日に対しその相互性をとるにはどうしたらいいものかと牛の顔を見るたびに思うのです。
しかもその牛は息子が一番可愛がっている牛でその牛が居なくなると必ず息子は気づくと思いますし毎日のようになでなでしている姿を見ると心が痛む思いです。
最近の我が家はまず初めに私が胃腸炎になって苦しんだのが1週間前。
そしたら今度息子が喉が痛いということで、風邪をひきなんか病気三昧の我が家であります。
昨今の寒暖差の激しさは、子牛にとっても大変重要視しなければなりません。 ホルスタイン種と言うのは寒さに強い品種ですが、子牛に関しては寒さに強いわけではなく免疫力が弱く、下痢発熱食欲不振など特に秋から春の初めにかけて注意しなければならない時期であります。
それでもこの朝霧高原でも桜の花が咲き昼間でも気温が20度近くまでになると、やはり春の訪れを感じるもので、牧草地の草も伸びてきており、これから始まる牧草の収穫作業のためのトラクターの準備。
そしてデントコーンの作付など畑作作業が増えるのでこれからの時期踏ん張っていかなければなりません。
そのような時に体調崩しているわけにもいかないというのがやはり生き物を扱う職業なんだなということと、その作業してくれる代わりの人がいないというのが今うちの牧場において重要課題なのかなと思っています。
先日、取引業者の担当者から8月にスーパーと協賛でご家族団体で30人ほどで牧場見学で人を連れてきたいということで話がありました。ただの牧場見学であるならば、観光牧場行って牛を愛でて、へーそうなんだでいいと思うのですが、うちの牧場というのは グレイスランドの名の元に「いただきます」「ごちそうさま」といった日々の食料そして作ってくれる方、それに関わってくれる方を大切にしていきたいとの思いを込めた名前の牧場ではありますから、それを伝えるような牧場見学としていかなければいけないと思っております。
昨今の子供たちは「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を言わないとのことです。
食料に感謝とか作ってくれた人(親)に感謝とかが少なくなってきている現状はあると思います。自分の小さかった頃とか・・・うちの子達にしても、人のご家庭のことを言えませんが・・・😅
それでも牛と共に暮らし、牛から牛乳をもらって、それを出荷することによって、僕たちは生かさせていただいてるので、また普通に生活している中でも料理作ってくださる妻がいて、私が体調悪ければ娘は「大丈夫?」と声をかけてくれ、父母もまだまだ元気に仕事を手伝ってくださっている。
今当然のようにあるかもしれないけれども、それって当たり前なんじゃないということをひしひしと理解していかなければならないものですので、それを含めて牛たちから感謝をする意味での「いただきます」「ごちそうさま」の大切さを伝えていきたいです。
牛は1リットルの牛乳を生産するのに100リットル血液を体内で循環させる事で生産してくれます。
うちの牧場では平均37リットルの牛乳を生産してくれるのでどれだけ必要なのかというと3700リットルと膨大な量の循環です。それだけの血液を循環させないと1日の牛乳37リットルというのを生産できないってことを考えると、どれだけの心労や労力をかけて牛たちは牛乳を生産してくださり私たちは牛乳をいただいているのかという事です。
牛たちの寿命は私は知りません。
無理をかけず草原で暮らし牛乳を出さない生活をすれば20歳以上生きるのかもしれない。
でも産業動物ということで人間が開発し牛乳をたくさん出せるようにし、私たち人間がもらってるのです、ですのでうちの牧場での寿命というものは6歳とか7歳でしかありません。生命を削って牛乳生産してくれているという事なのです。
それを考えるとほんとに「人間というのはどれだけ罪深い存在なんだ」と言うようなことも思うんですよね。
そういった生命のこと考えると解決策がどこにあるかというのは事は全然わかりませんし、ずっと一生付き纏っていくものなのかなと思っております。だからこそ償いというわけではありませんが、「ありがとう」とか「いただきます」とか「ごちそうさま」って言うような事は当たり前にほんとに心底を持ってそういった言葉が出てこなきゃおかしいと思うんですよね。
私はそんなこと発言しても、人様の前に立てるような存在ではなくまだまだ傲慢多々あると思います。
私なんて全然完璧ではありません。俺なんて1人で生活してるから、そんな誰にもお世話になってないよーなんて言うような人はこの世界のどこ探してもいないと思います。必ず誰かのお世話になってる弱い存在だと思います。
弱いからこそ人からの支援も牛からもそうなのですが、たくさんいただくことがあるものに対して感謝の言葉を言い続ける事を大切に続けていきたいと思いますし、来てくださる方にも牛を牛乳を通じて伝えていきたいと思います。